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国家公務員合同初任研修開講式 安倍総理訓示 发表时间:2014年04月22日 | 发表人:
平成
桜満開のもと、今まさに、国家公務員としての歩みを踏み出そうとする、皆さんを、行政のトップである内閣総理大臣として、心から歓迎したいと思います。
この壇上から、皆さんの、若々しい、そして真剣なまなざしを見ていて、本当に心強く思います。
国家・国民のために身を尽くす。崇高な「志」を持って、国家公務員となる道を選んでくれたことを、大変うれしく思います。
「鉄は熱いうちに打て」という言葉があります。
社会人としてのスタートは、厳しいものかもしれない。つらい思いも、することでしょう。しかし、そうした経験の一つひとつが、若い皆さんにとって、将来の成長の糧となることは間違いありません。
皆さんには、いかなる試練にも耐えていってほしい。そして、立派な公務員として成長し、それぞれの「志」を果たしてもらいたい、と思います。
鉄は、打たれても、水にひたされても、火に焼かれても、びくともしません。しかし、そのまま放っておけば、錆びて役に立たなくなってしまう。
鍛えれば、ツヤが出る。手を抜けば、さびが付く。
人間の「志」も、鉄のようなものです。皆さんには、初心を忘れることなく、研さんに励み、「志」を高く持ち続けてほしいと願います。
日本は、今、時代の大きな転換点にあります。
東日本大震災からの復興は、いまだ道半ばです。急速に進む少子高齢化に対応するとともに、強い経済を再生しなければなりません。責任あるエネルギー政策の構築も、教育の再生も、待ったなしです。
外に目を向ければ、成長センターであるアジア・太平洋に、一つの大きな経済圏が生まれようとしています。TPP交渉は、最終局面にあります。
先週、北朝鮮が弾道ミサイルを発射しました。南西方面では、主権に対する挑発も相次いでいる。日本を取り巻く安全保障環境は、一層厳しさを増しています。ウクライナ情勢も、アジアにとっては、対岸の火事ではありません。
こうした諸課題から、私たちは、目を背けることはできません。先送りは許されません。真正面から、一つひとつの課題と向き合い、答えを出していくことが求められています。
だからこそ、これから政策の企画立案を担う、皆さんに、3つ申し上げたいと思います。
「現場に足を運べ。」
「世界に目を向けろ。」
そして、「チャレンジを続けよ。」
霞が関の机にしがみついていても、何も変わりません。皆さんは、国民全体の奉仕者であり、国民のための行政を進めなければならない。「現場」に出かけ、国民の声に耳を澄ましてほしい、と思います。
グローバルな時代にあって、「日本のことしか知らない」ガラパゴス人間では、話になりません。いかなる行政分野にあっても、広く世界と交わりながら、最善の判断をしてほしい、と思います。
挑戦しない人間は、「失敗」することもないでしょう。しかし、誰もチャレンジしない国は、将来の発展などあり得ません。皆さんには、何事にもチャレンジする精神を持ち続けてほしい、と願います。
200年ほど前、鎖国・日本は、北方の海で、外国からの脅威にさらされていました。
そうした中、徳川幕府は、樺太が、外国の支配が見込まれる大陸の一部なのか、それとも独立した島なのか、それを確認するため、一人の役人を派遣しました。間宮林蔵です。
彼は、一度目の探検で、大陸と樺太の間に、海峡が存在していることを発見します。のちに、「間宮海峡」と言われる海峡です。
目的を達した間宮林蔵は、いったん北海道に戻りますが、すぐに、二度目の探検に出かけます。彼は、樺太の対岸にある、大陸へと渡る決意でありました。
「見慣れない顔の日本人が出かければ、命が危ういかもしれない」
樺太の人たちは、彼の渡航を止めたと言います。
実際、彼は、現住民族に捕えられるなど、身を危険にさらしながら、アムール川の流域を1か月にわたって調べました。そして、外国の支配がどのように及んでいるかなど、この地域の事情を明らかにして帰国しました。
外国とのせめぎ合いの中、日本の国土を守る。自らの使命を十分に理解した上で、間宮林蔵は、与えられた任務を単にこなすだけではなく、能動的に、未知の領域にも果敢に飛び込んだのです。
こうした先人たちのチャレンジ精神を、皆さんにも、大いに学んでもらいたいと思います。
しばしば、霞が関は、「縦割りだ」との批判を受けます。
しかし、それでは、困難な課題に立ち向かうことはできません。
社会保障の充実、安定化は、待ったなしです。同時に、財政も立て直さなければならない。経済が悪化してしまえば、社会保障も、財政再建も、できません。
もはや、国家的な課題を、どこか一つの役所だけで解決できるような時代ではない。だからこそ、皆さんには、所属する省庁の視点ではなく、常に、国家全体の視点で物事を見る、「真の国家公務員」であってほしいと思います。
幕末の時代、徳川家の家臣であった岩瀬忠震(いわせ・ただなり)は、「日本の孤立を避けるため、開国すべし」と唱え、欧米列強との条約調印を推し進めました。
その交渉力の高さには、あの米国総領事・ハリスも舌を巻いたほどであった、と言います。
その岩瀬に対して、鎖国維持が大勢を占める幕府の幹部たちは、条約調印を進めれば、不測の事態が生じ、徳川家の存続をも危うくなりかねない、と批判しました。こうした批判に、岩瀬は、このように答えたと言います。
「国家の大政に預る重職は、この場合に臨みては、社稷(しゃしょく)を重しとするの決心あらざるべからず。」
社稷(しゃしょく)とは、国家のこと。危機にあっては、「徳川家よりも、国家の方が大切だ」と、決然と言い放ったのです。
皆さんも、それぞれの省庁に属する公務員である以前に、国家に属する「国家公務員」である。これからも、その意識を強く持ち、国家・国民のために全力を尽くしてください。
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